自動配送の事例 ― 日本と世界に分けて

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自動運転の応用先として物流業界が非常に注目されている。
Amazonをはじめとする通信販売の需要増加を背景として自動運転のみならず、ドローン配送など様々なアプローチで自動配送に本気で取り組む人がいる。

コロナウィルス感染症の感染拡大を受けて、人と非接触で配送できる自動配送の開発はますます加速していくように感じる。

本記事では既に取り組まれている自動配送ロボットの事例を簡単にメモする。

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日本の事例

かなり完成度が高いZMPのDeliRo

ZMPは自動運転をやっている話題の会社。
DeliRo(デリロ)という商品を配達する宅配ロボットサービスを手掛けている。

宅配ロボット・配送ロボットDeliRo(デリロ) | 自動運転・ADAS技術のZMP
宅配・配送ロボットDeliRo(デリロ)は、荷台部に入れ替え可能なボックスを搭載し、屋内外を自律的に走行が可能なロボットです。屋外では周囲の環境や信号など認識し歩道を走行し、荷物を目的地へ届けます。

DeliRoのスペックは以下の通り。

  • 幅 66.4 cm、長さ 96.2 cm、高さ 108.9 cm
  • ZMPの自動運転ソフトウェア「IZAC」を搭載
    • IZACは自動運転のプラットフォームとしてZMPの様々な自動運転アプリケーションに使われている。
  • カメラやLiDARで周囲環境を360度認識
  • 最大時速6 kmで自動走行
  • 運ぶ荷物の大きさや形状に応じて1 ボックス、4 ボックス、8 ボックスを選択
  • 積載量は最大50 kg
  • 積載容量は幅 52 cm、長さ 52 cm、高さ 40 cm
  • 目(LEDパネル)と音声(スピーカ)によるコミュニケーション機能
  • Robo-HI(ロボハイ)による遠隔監視システムを採用
  • ブロックチェーンによる注文完了、商品積込完了、配送完了、受取完了の記録
  • 乗り越える段差は5 cm
  • 登坂能力は8度
  • 駆動時間は約12時間
  • 充電時間は最大4時間
  • 4輪駆動
  • 4G通信とWi-Fi通信に対応

スペックを見れば分かる通り、システムとしても非常に完成度の高い自動配送ロボットである。
ビル内や大学構内という制約が限られた場所であれば、問題なく配送できる。

2019年3月には慶応義塾大学でローソンの商品を8箇所の配達拠点に届ける実証実験をしたと発表された。
無人配送の実証実験はこれが世界初と謳っている。

さらに2019年12月には竹中工務店の御堂ビルで三菱電機製エレベータと連携する実証実験をしたと発表された。
三菱電機のスマートビルプラットフォームサーバーとLTE通信によって接続することで、エレベーターとの通信・制御を可能としている。

2020年5月から商用化すると書かれている。1台月額10万円以上、初期費用500万円以上を見込んでいる。
ただ、かなり高額な印象。まだ人の方が安い?

配送業者の営業所から各家庭への配送へのステップアップにはまだまだ課題が多いが、非常に今後が期待される。

新興のHakobot

2018年に設立された新しい会社。

株式会社Hakobot|HAKOBOT inc.
Hakobotは、自動走行ロボットの開発・販売・レンタルを行う自動走行ロボットメーカーです。 シンプルで親しみやすく、操作性や価格の面で最も導入しやすい自動走行ロボットの販売を目指し、現在開発を進めています。

Hakobotのスペックは以下の通り。

  • 車体最上部にLiDARを設置
  • 全長 73.0 cm、全福 569mm、高さ 703mm (ZMPよりやや小柄)

長崎県壱岐市のSDGsをテーマにしたフェスにて自動走行実証実験をした。
そのフェスではモノを自動配送するのではなく、メインステージの演目の告知をスピーカを通してするという利用に限られた。

ホリエモンがこのプロジェクトに参画している。

トラックの隊列走行(ソフトバンク)

自動配送というと、最寄りの配達営業所から自宅までという「ラストワンマイル」を担うロボットが注目されるが、これは中長距離を運ぶトラックを自動運転化しようという取り組みの一例である。

ソフトバンクは2019年に第5世代移動通信システム(5G)を使用したトラック隊列走行の実証実験をした。
1台目は有人走行であるが、後続する2台目と3台目は無人走行である。(将来的には1台目も自動運転になるのであろう。)
隊列走行はドライバーの人材不足を補うだけではなく、空気抵抗が減少することによる燃費向上も見込める。

これらのトラックは基地局と車両間通信を行うV2N2V (Vehicle to Network to Vehicle)と直接車両間通信を行うV2Vによる通信手段を用いている。
通信されているデータは、

  • 位置情報
  • 加減速
  • 制動
  • 操舵

などの数十Byteから数百Byteの小容量データと、後続車の周囲の映像のような監視用途で数十Mbpsのリアルタイム映像データがある。

通信方式の詳細な説明が上記のサイトにまとめてあるので、興味がある方はそちらを参考にされたい。

実は自動運転のコンピュータが消費する電力は非常に大きく、省エネ化が課題となっている。
この通信を用いた隊列走行は、各車両が大量の計算をするのではなく通信によって協調走行することで省エネ化にもつながる可能性があるという強力なインサイトを与えてくれる。

宅配業者はどうしてるのか?

ヤマト運輸や日本郵便、佐川などの国内の宅配業者は上記のようなロボットを使って実証実験を行っている。

例えば、ヤマトは2018年にDeNAと自動配送の実証実験をしていたり、日本郵便も2020年に大手町のビル内で配送ロボットを使った実証実験をしている。

彼らの役割は、どのようにして自動配送ロボットを使って配送サービスを展開していくかというところである。
オリジナルの自動配送ロボを作っているわけではないため、本記事での紹介はこれに留める。

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海外の事例

日本ではZMPの自動配送ロボットを始めとする事例があるが、海外では開発スピードも実証実験のレベルもはるかに先行しているように感じる。
全ては拾えないため、そのうちいくつかをピックアップしておく。

リクルートが出資しているStartship Technologies

レストランで食品を受け取り、ユーザまで届けてくれる自動配送ロボットを手掛けているアメリカの会社である。

Starship Campus Delivery Service with Robots

地方自治体や大学、小売業者を中心に連携し、動画を見ていただければ分かるように歩道も走行しているというのがZMPとは違うところである。
アメリカと日本の法律の違いによるところもあるだろうが、実際に公道でサービスを展開しているのは大きく先を行っているような気がする。

2019年8月には配達回数が10万回を超え、総走行距離は56万kmに至った。

最高速度は6km/hであり、問題が起きたときは遠隔操作できる。
重量は25 kgで、最大9.1 kgの荷物を運ぶことができる。
ZMP同様にスピーカーを通して人間とコミュニケーションすることができる。

10台のカメラ、GPS、超音波センサ、などを搭載しているが、LiDARは含まれない。
カメラから得た画像をエッジの特徴検出して周囲を認識している。

衛生画像を利用して経路生成している。
歩道、横断歩道、車道に分割された道を単に最短ルートで結ぶのではなく、移動中に遭遇するシナリオをコスト化して、最も低コストなルートを機械学習によって選択している。(参考

背が低いため、視認性を高める目的で旗を付けているのがかわいい。

ソフトバンクが投資しているNuro

Nuroは元グーグルのエンジニア2人が立ち上げた、自動配送を手掛けるアメリカの企業である。

Our Very First Customers

外見は「トースター」のようだと言われているのはさておき、一般の自動車程度の大きさであり、車道を走行するという点でZMPやStartshipとは異なる。

SoftBankビジョンファンドから9億4000万ドルもの融資を受けている。
また、Walmartとの連携していたりと大きなパートナーが多い。

Walmartは自動配送へ積極的に参加しており、Nuroのみならず様々な企業と連携している。

イタリアのYAPE

イタリアの自動配送ロボットを手掛ける会社である。

YAPE mobility

ドイツのフランクフルト空港で実証実験をしたり、日本郵便とも建物内での自動配送の実証実験を行っている。

2輪走行していることが特徴。
デザインはZMPと比べると非常に良い。

その他

  • Postmates
    • サンフランシスコの歩道で唯一走行が認められている。
  • Google系のWaymo
    • 2018年7月Walmartと連携
  • Amazon
    • Amazonの自動配送ロボットは出遅れていると言われている(参考
  • Refraction AI
    • 自転車レーンを走行するように車体設計されている。
  • 他にもたくさん

自動運転をやっている会社は自動配送にも取り組んでいる印象である。

ドローン配送(おまけ)

自動配送というとドローン配送も非常に盛り上がっている。

ドローン配送は陸上輸送が困難な地域にも配送できるという利点がある。
一方で、落下の危険性や雨天時には飛べないこと、飛行時間が短いなどという欠点もある。
そもそもドローンは荷重に非常にシビアであり、荷重と飛行時間はトレードオフであるため、ドローンの自動配送ができてもドローン自体の性能に開発の余地が残る。

したがって、汎用的な荷物の輸送というよりは食料や医療品、郵便物など、比較的軽量な物資の輸送に使われている例が多い印象を受けた。

また、離島や山間部など、落ちても危険性が低い地域で優先的に導入されている。
これらの地域はそもそも海上・陸上配送が難しい場合があるので、理にかなっていると言える。

  • 楽天
    • 2019年に完全自律飛行のドローンを用いて横須賀市の猿島へ食材を届ける実証実験を行った。
  • 株式会社自律制御システム研究所(ACSL)
    • ドローンの自律制御を行っている会社。
    • 2020年日本郵便がこの会社のドローンを採用し、奥多摩地区で実証実験を行った。
  • Amazon
    • 自動配送ロボットでは出遅れていると言われていたが、2016年にはPrime Airというドローン配送サービスを開始するなどドローン配送はパイオニアである。
    • 下の動画を参考に。
  • DHL
    • 独自にドローン配送を開発している。(参考
  • AHA
    • アイスランドの首都レイキャビクで出前のドローン配送をしている。(参考い)
    • 都市部でサービスを展開しているという点は特筆すべきだが、海によって入り組んだ地形を克服することが理由であるため移動は主に海上になる。
  • 他にもたくさん
Amazon Prime Air’s New Delivery Drone

まとめ

自動配送ロボットや自律飛行ドローンなどの事例を列記した。
非常に多くの企業がこの分野に取り組んでおり、海外ではすでにサービス化に至っている例もある。
サービス化の現実的な課題として、受け取りやセキュリティなど、どう人間と共生していくかが気になるところ。

今後面白いものを見つけたら追記する予定です。

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