回帰分析において自然対数をとる目的

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回帰分析は必ずしも線形モデルだけとは限らず、非線形なモデルを推定する場合も存在する。
説明変数や目的変数を自然対数の形にすることで便利になったり、弾性値や偏弾性値などと解釈が変わることがある。

本記事ではそのような場面を簡単にメモする。

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非線形モデルの推定

例えば、労働 $L$ と資本 $K$ を用いて出力 $Y$ が得られるテクノロジーが次のように定式化されるとする。
$$Y=L^a K^b$$
非線形なモデルなので、このままだと扱いにくい。

そこで、両辺を自然対数をとると、
$$\ln{Y} = a\ln{L} + b\ln{K}$$
という線形なモデルに変換できる。

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パラメータの解釈の変更

推定式が単純な
$$Y= a +bX + u$$
であれば、パラメータ $b$ は説明変数 $X$ が1単位変化したときに目的変数 $Y$ が何単位変化するかを意味する。
これは限界効果と呼ばれる。
しかし、次のような欠点もある。

  • 説明変数と非説明変数の単位(円、時間など)が既知である必要があること
  • 単位の変化の大きさを実感しにくいこと
  • 国際比較や時代比較など、物価水準の異なるものの比較が困難になること

これらの欠点は対数で式変換した弾性値や偏弾性値を用いれば軽減される。
以下で弾性値と偏弾性値について説明する。

弾性値

例えば、上式の両辺を対数をとると、
$$\ln{Y} = a^\prime+b^\prime \ln{X} +u^\prime$$
という式に変換できる。
この式では、パラメータ $b^\prime$ は説明変数 $X$ が1%変化したときに目的変数 $Y$ が何%変化するかを意味する。

その理由は両辺を $X$ で微分して、
\begin{align}
\frac{1}{Y} \frac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X} &= b^\prime\frac{1}{X} \\
\therefore \quad b^\prime &= \frac{\mathrm{d}Y/Y}{\mathrm{d}X/X}
\end{align}
と変換できるように、変化量[%]の比になっていることから明らかである。

この $b^{\prime}$ を弾性値という。

偏弾性値

また、目的変数のみ対数をとると、
$$\ln{Y}= a^{\prime \prime} +b^{\prime \prime}X + u^{\prime \prime}$$
という式に変換できる。
この式では、パラメータ $b^{\prime \prime}$ は説明変数 $X$ が1単位したときに目的変数 $Y$ が何%変化するかを意味する。
すなわち、$b^{\prime \prime}=0.08$ のとき、$X$ が1増加すると、$Y$ は8%増加することになる。

その理由は両辺を $X$ で微分して、
\begin{align}
\frac{1}{Y} \frac{\mathrm{d} Y}{\mathrm{d} X} &= b^{\prime \prime} \\
\therefore \quad b^{\prime \prime} &= \frac{\mathrm{d}Y/Y}{\mathrm{d}X}
\end{align}
と変換できることから明らかである。

この $b^{\prime \prime}$ を偏弾性値という。

参考書籍

2冊の参考書籍を載せておく。

1冊目は統計基礎の教科書で、2冊目は計量経済学の教科書である。
どちらも非常に良書である。

本記事の内容は1冊目の13章と2冊目の3章に書かれている。

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